2007年10月17日

耐震偽装の果てに 〜君は僕に似ている(かも)

世間を騒然とさせた耐震偽装事件。姉歯建築士の裁判は今も控訴中だが、世間の関心は確実に風化し続けている。そんな折に建築基準法が6月に改正され偽装防止を徹底すべく新制度が動き出したわけだが、そこで何が起きたか。

日銀地域経済報告 九州の景気下方修正 開始以来初 住宅投資が大幅減
住宅着工が激減…法改正で審査厳格化、建築確認に遅れ
7・8月の住宅着工、3割減 耐震偽装で審査厳格化
(8月だけで見ると4割超の減少)

今回の建築基準法改正のキモは「制度の厳格化」。一つ一つの手続きを水をも漏らさぬ程に厳しくすることで、偽装を防ごうという考えだ。また建築士などの当事者に対する罰則も強化された。

結果、ゲンバでは「大恐慌」が発生。
そもそも情報が錯綜し制度理解が進んでいない状況の中、例えば構造強度に無関係な項目で引っ掛かり審査が通らない(この点については改善が図られている段階)。細かい項目について何十枚もの説明書・証明書を求められる。そして新基準に対応した構造計算プログラムは未だに認可されていない。設計・建設のスケジュールは遅れる一方で、その影響が顕われ始めている。


今回住宅着工戸数というマスコミが取り上げてくれる数字のおかげで、ようやく世間に知られることとなったこの事態。これはひとえに国交省の無知と怠慢によるものだ。ある国交省幹部は「真面目にやっている建築士は影響ないはずだ」と言ったそうだが、これこそ無知と怠慢の極みなのでは。


建物を建てるには図面と実際の敷地とのズレ、建築主の要望による設計変更などに柔軟に対応し、安全・快適な建物を実現させていく。「真面目な」建築士であればあるほどそれらの不確定要素に真摯に対応するわけだが、審査が厳格化されることで軽微な設計変更すら難しくなり、そのための労力・時間・費用・ペーパーは設計者(もしくは建築主)の負担になり、例えば建築確認に必要な審査料も改正を期に大幅に値上げされている。ちなみに多くの建物ではこの他に第三者機関による構造判定(ピアチェック)が必要でその費用も10〜60万程と高額で審査期間も延びている。しかし実際に審査をするわけではない国交省は何ら困ることはない。

挙句の果てに全国の地方公共団体の中には「うちでは審査できないので民間の検査機関を利用してくれ」とノタモウ者も出る始末。そもそも行政で行っていた確認審査を民間開放したのが「指定確認検査機関」(イーホームズ、日本ERI等など)であるのに、当の行政が審査できないと言うのは監督する国交省(+その天下り先)の怠慢でしかない。また建築士や指定確認検査機関に対する罰則は強化されても監督する立場の国交省の責任には触れられていない。


「当事者意識が希薄」「悪いことをした自覚が見えない」と言われた姉歯氏。確かに多くの住民の財産・生命を脅かす卑劣な行為に走ったが、一方で氏はディベロッパー・ゼネコンからの圧力や偽装を生み出し見逃した制度の綻びの犠牲者ではなかったのか。ヒューザーの小嶋社長、木村建設幹部の発言の数々、そして自民党の武部氏の「悪者探しに終始するとマンション業界はつぶれる」と言う迷言。その後、悪者は出てこずマンション業界もつぶれなかったが、末端の姉歯氏は罪を背負う。

「制度の厳格化」により疲弊した建築士には廃業する者も出てきてるそうだが、他に協力を仰ぐ前に国交省は再度根本的な問題解決に当るべきではないか。硬直した制度は自由な発想と経済活動を阻害し、結果的に社会的コストの増大をもたらす。
改善の気配のない車輪の下に切り捨てられる末端。姉歯と同じとは言わないがどこか似ている。先日キラにやられた急逝した黒川紀章氏も天上より憂いているに違いない。
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Excerpt: 「建築業界を揺るがす?耐震偽装」に関するブロガーの意見で、みんなの参考になりそうなブログ記事を集めています。自薦による投稿も受け付けているので、オリジナルな意見のブログ記事があったら、どしどし投稿して...
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Tracked: 2007-10-17 23:38