2008年08月01日

「スカイ・クロラ」にオスィの新境地を見た。

いよいよ8月。
いま街を取り巻くのは、9月前のような湿気を含んだ重苦しい熱気、夏休み中の子ども達のはしゃいだ声、来るべき夏の甲子園や北京五輪に向けた漠然とした高揚感。そしてアノDVDへの期待・・・かどうかは分からないが、とにかく夏本番である。

そんな中、今週末には押井守の新作「スカイ・クロラ」が封切られる。先日の「崖の上のポニョ」のレビューに続き、遥か過去の試写を思い出しつつ、ちょろんとレビューをば。


「スカイ・クロラ」は押井守による長編アニメ映画。だが、これには原作があり、森博嗣による小説「スカイ・クロラ」シリーズがそれだ。本作では原作の「スカイ・クロラ」を下敷きにシリーズの他作品で語られる部分も加味。永遠に大人にならない子供たち「キルドレ」による、ショーとしての戦争。新たに基地に赴任したパイロットが出会う、基地の女性司令官。彼らの「日常」と彼らの生きる世界。原作を踏襲しつつもテイストの異なる、映画における「スカイ・クロラ」が新たな押井ワールドにより展開される。

新たな、と言ったが、今作で押井はこれまでにない試みを行っている。「現代の若者へ向けた」「恋愛映画」を作るため、「世界の中心で、愛をさけぶ」の伊藤ちひろを脚本に起用。これまでの冗長な台詞回し・引用と難解なストーリーを排し(切ってはないけど)、観客が自分のものとして共感しやすいエンターテイメント作品となっている。

映像はCGによる迫力の戦闘シーンと澄み切った空、そして丁寧に描き込まれた人物セル画との融合が美しい。そして川井憲次による音楽も作品世界に広がりを与える。大画面と迫力の音響、すなわちDVDではなく劇場で見るべき作品となっている。これホント。
どこか遠くの世界のようで地続き感のある世界。それはポーランドやアイルランドをロケハンして作られた街の背景や、黒髪と黒い瞳に代表される登場人物のせいだけではないだろう。いつもと同じ日常、でもどこか昨日とは違う、それでいて少し不安定な毎日。監督自身「口にして失敗した」と言う「若い世代に見て欲しい」と言うメッセージだが、意外にも多くの観客に共感を与えるのではないだろうか。

と書いたが、2時間では若干説明不足のような部分も感じられる。それに個人的には原作の方が諦観というか、乾いた感じがして好きだったので「愛」に傾いた分、ちょっと湿っぽくなったのが気になった。主人公始め「キルドレ」が空を飛ぶ理由、そして彼らは何を思うのか。ちょっと分かりやすぎる話になった感じだ。
また「ティーチャ」と言う「大人」の存在についても、ちょっと違うんじゃね?と思ったけど、そこは監督の思いが強くてあのような描き方になったのか。でもやっぱり違和感は拭えなかったけど。
他にもコンパスみたいな歩き方が見たかったとか、散華が落ちる話は唐突過ぎないかとかあるけど、全体的には満足。
と言うことは、まあ平均的な日本人なら楽しめる映画ってことですw (ぉ


そんな「スカイ・クロラ」は「崖の上のポニョ」、北野武の「アキレスと亀」と共にベネチア国際映画祭のコンペ部門への出品が決定。金獅子賞を期待する声もあるが、そんな事はおいといても押井監督の新境地を十分に楽しめる映画ではないだろうか。いや、期待するのもいいんだけどね。












そういや試写に来ていた押井監督は、想像通りの人だったなぁ。笑ってしまうくらい。(あくまで「想像」通りだけど)
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